連日、雨ばかり降っている。
雨といえば、
初期の唐さんの作品のいくつかに、「なんてじめじめした陽気だろう」という科白を繰り返す場面が出てくる。
もちろんこれはベケットの「ゴドー〜」へのオマージュであり、唐さんより少し先行して劇作を始めていた別役さんの影響でもある。
だから私は以前、そのような経緯があるのだからこういうシーンはわりと知的に、意味あり気にやらなければならないと考えていた。
ところがあるとき、怪優・大久保鷹に助言をもらって目からウロコが落ちたのだ。
曰く「あれは雨ばっかり降る日本への讃歌なんだから、楽しそうに言わなければだめだよ」
これを読んでいる人は「なんてじめじめした陽気だろう」となるべく楽し気に、リズミカルに言ってみてほしい。
実に、日本に生まれてよかった! という気になるではないか。
以来、本当に知的な人とは、大久保さんのような人のことを言うのだと思うようになった。
雨天を楽しむという生き方こそ本当の知性ではないだろうか。
梅雨の時期は、鷹さんを思い出す。
今週末は、北仲スクールの出張で仙台に行きます。
これは今日聞いた話だが、どうやら東北の道路は、いまや地震の影響でかなりうねっているらしい。しかも雨できっとすべりやすくもなっているだろう。
早めに出発してスピードは抑えめにしよう。
車中で聴く音楽はどれにしようかと、いませっせと計画を練っている。