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記憶を整理してみる①

妙に目が冴えているので、せっかくだから最近見たものの記憶を整理しておこう。

今年はじめには、最近知り合った桃山邑さん率いる劇団「水族館劇場」をみた。
元旦のことである。
横浜のドヤ街(いまはちょっと違った様相であるけれど)寿町での無料公演を見に行った。
戦傷の残る巷で、孤独な女が生き別れになった妹を捜す、という話だった。
一度は妹らしき少女と巡り会うも、実は彼女はアカの他人で...、という風に展開する。
ウルトラセンチメンタルである。
上演時間の上限が1時間という制約の中では、ドラマを展開させるにタイムアップの感があったので、今度は壮大な舞台装置を誇るという本公演にも脚を運んでみたい。

次は4日の『トリスタンとイゾルデ』。
これは先日書いた。
その後、指揮者の大野さんは体調を悪くされて療養中だそうです。
恐るべしワーグナーの長さ。

10日に、横浜国大の茂木先生に誘われてモーツァアルト『魔笛』を見た。
オペラを続けて見るなんてめずらしい年。
自分が幼いせいか『トリスタン』よりも『魔笛』の方が楽しい。
ずっと音楽が鳴りっぱなしよりも、科白だけのシーンもあるジングシュピールの方が好きだということもある。自分がつくる劇もそんなところがあるし。

『魔笛』は随分勉強になった。
音楽と舞台で進行している芝居の関連性がほんとうに良く解った。
スピーカーから流れてくる音には空間性がないけれど、ナマでみるとそれぞれの楽器同士が登場人物に対応してダイヤローグしているのがよくわかる。
またどの人物の心理に音楽がかけられているのかも。
自分が音響機材をつかってせっせと劇をつくる時にしていることと要は同じことだ。
登場人物の微細な動きをキッカケに音楽が鳴りはじめると、映像でいうクローズアップ効果がかかるのだ。

茂木先生とは後日話し込んで、最近はその時おもしろいよと教えてもらったパーセルの『ディドとエネアス』を夜な夜な聴きながらウェルギリウスの『アエネーイス』を読んでいる。
10代の終わりに、ペトロニウスやセネカを読んだ時以来のローマ古典だ。
ついでに解説本も読んで、ダンテの神曲になぜウェルギリウスが登場したのかはじめてわかった。

それにしても学生時代にもっと音楽に目覚めていれば、また違っただろうなと思う。
同じクラシックで批評家の許光俊さんの本など最近よく読むけれど、許さんもまた横浜国大にいた先生だった。
許先生に至っては、自分は彼の基礎演習の生徒であるにも関わらず、好意で誘ってくれた昼食会をすっぽかし、そのあとそのクラス自体が雲散霧消してしまった記憶もある。
実に惜しいことをしたものだ。


と、ここまで書いたところで上手い具合にウトウトしてきた。


そのあとに見た南河内万歳一座の『ラブレター』やエレーヌ・グリモーのコンサート、梁山泊の『風のほこり』、我が劇団員の土岐くんがめでたく初めての客演を果たした劇団・地下空港の『OLと魔王』、新国立劇場の『わが町』については後日。
大学で自分が担当した神奈川芸術劇場の眞野館長による講演会、これもまた後日。


今年は、のっけからけっこういろんな経験をしている。
by nakanoatsushi | 2011-01-25 02:06
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