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未開人と記憶喪失

今日ニュースを見ていたら二つの報道が気になりました。

まずは「未開人」について。
ニュースによると、ブラジルでこれまで文明との接触を一切行ってこなかった部族が発見されたらしい。ついては今後彼らとどのように相対していくのか、当局は検討をはじめたとのこと。
その報道でほんの数秒流れた画像によると、朱やオレンジに全身を染め上げた人々がこちら(つまり写真をとった人ですね)にむかって弓矢を構えている。彼らの力によって反り返った弓の曲線は、それはもう美しいものでした。なんという純粋な腕力!! 今後彼らがたどる運命を別にして、あの肢体は実に魅力的です。いいものを見ました。

次に「記憶喪失の男性」について。
彼は北海道で保護されたらしい。自分の名前やこれまでの来し方といった身近な質問については全く答えられない彼が、歴代首相の名前やマージャンのルールについてはすらすらと返答してみせる。この状態を「前生活史健忘症」というらしい。
僕など今現在こんなことになったら困ることだらけなのですが、かつて小中学生くらいの頃はよく、得てしてテストの前日かなんかに「自動車事故にあって外傷は全くないのだけれど、記憶喪失になったらいいだろうな」などと想いをめぐらせることがよくありました。
サナトリウムでの療養によって日々の生活から長期離脱することと記憶喪失とは、いかにも十代の憧れです。それを思い出すと恥ずかしくなりますが、画面に映った彼の表情はなんとなく朗らかで、諦念を含んでいるけれどもあの笑顔はあながち不健康でもないように思える。いまだに、僕はちょっと羨ましい。

人は「知ることができる」のか、それとも「知ってしまう」のか。
そのようなことを考えながら今取り組んでいる作品の資料を当たり、美術と音楽のプランをたてています。
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by nakanoatsushi | 2008-05-31 20:02