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プレ公演が終わり2週間。昨日は水戸で唐組をみてきた。

4月20日にプレ公演が終わりました。
観客席は久々に大勢の学生たちで埋まり、
あまり宣伝を打たなかったものの、
学外からも何人かもファンが新作を観に来てくれました。
ありがたいことです。
おかげで、初夏の本公演に向けて良いスタートを切ることができました。

上演本番ともなれば意外と書き下ろしのプレッシャーはなく、
これからはじまる本番の準備に追われていつもとまったく変わりなかったのですが、
集まった学外からのお客さんたちには、
「やっとですね」
「おめでとうございます」
といった風に、
いつもとはまた違った暖かい言葉をかけていただきました。

中にはずっと見続けて来てくれている方もいるので、
そういった皆さんが感慨深げなことで、
本番直前、
準備万端整って開場を控えた時には、
今日はじめて披露される物語なんだな、
という緊張やよろこびを切実に感じることができました。

それから2週間。
プレ公演の片付けがあり、
本公演までの稽古・作業・宣伝のための体制づくりがあり、
家の掃除があり、
溜め込んだ雑務があり、
足柄へのお出かけがあり、
さらに色々と逃避を重ねながらもついに重たい腰を上げて本格化させた博士論文の製作があり、
まるで宿題を溜め込んだ夏休みのような、
どこか余裕がありながらも悶々とした日々を過ごしてきましたが、
昨日やっと、
ゴールデンウィークに相応しいさわやかな体験がありました。

それは、
はじめて行った、
唐組の水戸公演、
です。

なにしろ、
いつもは5月の頭に新宿で初日を迎える唐組ですが、
今年だけ水戸公演を早めることになったらしく、
ならば近いし待っていられないぜ、
というわけで出かけてきました。

途中、
大粒の雹に頭をこづかれたり、
猛烈な寒さがタ薄着に堪えたりもしましたが、
行って良かった。
『海星』は実におもしろい劇でした。

まず出演陣の演技が巧みで実に軽妙、
かなりくだらなく、
ばかばかしいやり取り、
物語の展開に、
大いに笑わされます。

しかしテーマは壮大、
天高くそびえるスカイツリーと、
同じ墨田区内にある綾瀬川と「鐘ケ淵」という地名をつかって、
唐さんが重厚な文明論を真っ向勝負で展開しています。

その、一見軽妙だけど実は重厚、
というバランスが実にいい、うまいのです。

前回の『西陽荘』が現在の社会状況に即した鮮度によって力を発揮する作品だったのに対し、
今回の『海星』は作品の視座を広く深くとった、名作の薫りがする作品でした。
もっとも、
いたるところでスカイツリー開業のニュースばかりやっているので、
そこは唐さん抜け目ないな、
という感じがしますけれど。

ネタバレなので詳細は避けますが、
今週末からはじまる公演にぜひ行ってみてください。
もちろん自分も12日(土)には行きます。
by nakanoatsushi | 2012-05-07 23:01
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