記憶を整理してみる②

今日は望月六郎監督に担当してもらっている映画ワークショップのラッシュ上映会だった。
年末脚本を書き、年始に怒濤の撮影を終えてきた学生たちは誰も彼も息切れしていたけれど、途中まで作り上げてきた作品はこれからの伸びしろも含めていずれも上々の出来だった。
これからブラッシュアップを重ねて3月5日の上映会を目指してほしい。
いや、ほんとうに楽しみになってきた。

だいたい10歳年少の彼らを見ていると、10年前、自分も同じように唐さんが行う通し稽古チェックに臨んでいたことを思い出す。
始まる前の自分たちはかなり緊張していたけれど、終了後の唐さんはいつも優しく、おもしろいアイディアや話を数限りなく聞かせてくれた。
あれがあって、いまの自分の演劇づくりがあることは間違いない。


さて、1月中盤の観劇記録である。
12日には、今回の『ラブレター』公演を終えてめでたく30周年記念休団に突入する南河内万歳一座を見に行った。
音響がカットインで切り替わり、コインランドリーのセットで洗濯機に跨がった俳優同士がぶつかり合うという活気溢れる舞台だった。荒っぽくて面白かったので、休団明けにはぜひ彼らの旗揚げ公演演目である『蛇姫様』を再演してほしいものだ。
看板女優の鴨鈴女さんとは、来月大学で学生たちが公演する『桃太郎の母』について色々と話を聞くこともできた。唐組で初演された時、鴨さんは客演として紅テントに立ち、「増子」という役柄で活躍したのだ。
唐組の久保井さんに講師をしてもらっているこの公演は、2月の26、27日が本番である。

その後14日には、月末こけら落とし公演を迎えるKAATの眞野館長に講演をしていただいた。
アルバイトから演劇の道に入ったという眞野さんの原体験は、どうやら30を過ぎて担当した『NINAGAWAマクベス』の現場にあったらしい。
巨大な仏壇のセットで有名なあの演目だが、つくり込みすぎたセットの重みが仇となって仏壇の扉が上手く開かない。それを力づくで解消していたのが眞野さん率いる一団だったのだ。
舞台上では老婆役の俳優2人が難なく扉を開けているように見えるものの、そのとき遥か上空では扉にのしかかる重さを軽減させるべく、眞野さんたちが欄間の部分を力づくで持ち上げていたのだ。
後日、別の担当に任せて上演本番を客席から観劇した眞野さんは、大いに感動したという。そしてそのとき、自分が関わっていた職業としての演劇が、職業を越えた表現になりうることを知ったというのが、眞野さんの原体験であるというのだ。
いい話だった。
演劇青年として演劇の道に入った自分とはずいぶん違うけれど、たしかに数々の劇場やカンパニーで技術監督を担当してきた眞野さんらしい面白いのめり込み方だ。
そんな眞野さんが館長であるKAATは、水を何トン使ってもよい理想の劇場機構を備えているという。
こけら落とし公演『金閣寺』では、果して金閣の炎上をどのように表現するのか、楽しみなところである。

今日も長くなってしまった。
下旬以降のことはまた今度。
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by nakanoatsushi | 2011-01-27 00:46
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