かつて私が同時に抱えた台本の数の最高は、4本だった。
あれは2005年の初春のこと。
『少女都市からの呼び声』『煉夢術』『盲導犬』『黒いチューリップ』。
そうだ。『唐十郎最終講義』の台本も作って、それを稽古しながら編集していたように思う。もっと短くしなくちゃなあ、とブツブツ自問自答していた日々。
相当に混乱していて、どれも全体の三分ほど思案の入口に立っては、他が気になってなかなか突っ込んでいけない。次のもの、その次のものがチラついて、考えぬくことができない状態。
次々に去来する台本の断片を追いかけていると、どれがどの作品の場面だか、分からなくなってくる。
挙句、唐さんに「これらを生み出してきた唐さんの頭の中は常にこうなっているのでしょうか?」「かなり錯綜していますね」などと真剣に相談して、ニヤリと笑われた記憶がある。
いま現在、大きく3つの企画が進行していて、その向こう側にある4つ目のことも考えたくなってきている。さらにその先の、5つ目は可能だろうか?
かつて上演した『お化け煙突物語』の科白で、唐さんは科白を中で、「人間は4までしか数えられない」と断言していたけれど...。